六月五日、池袋の豊島公会堂で、「公正採用選考を実現するために、現状と課題を考える」をテーマに第十回「就職差別撤廃」東京集会がひらかれた。都内企業の公正採用選考人権啓発推進員や行政・教育関係者など五百六十五人が参加した。
集会では、実行委員長の竹村毅さんから、テーマにそった基調講演を受けた。
竹村さんは、就職差別の歴史を振り返り、「部落出身者などの被差別少数者を職場から排除しようとする動きは、日本の近代化とともに生まれ広がっていったものだ」と述べた。最初は「職員間の忌避意識」であったものが、やがて「会社という組織ぐるみのものになっていき」、ついには「身元調査をしてあらかじめ排除する」というものになっていったこと、しかも「差別が制度化したことでいつの間にか、『意識しないで機械的に排除できる』ようになってしまった」ことを指摘した。こうした状態に対する当事者からの批判が地名総鑑の糾弾だったし、様々な就職差別をなくすための取り組みだった、しかし最近の労働市場の流動化等によって「採用選考過程が当事者には見えないものになっており、これまでの取り組みが後退しかねない」と述べ、新たな課題として「人権尊重理念の浸透」、「日本の雇用慣行の見直し」、「真に本人の適性、能力、意欲に見合った採用を実現するための、基本理念の再構築」「応募者側が欲しい情報と、採用側が欲しい情報のミスマッチの克服」「企業の社会的責任の自覚と実践」などが必要だと提起した。
また、集会では、労働行政と高校教育の現場から、それぞれ現状が報告された。大学生の採用選考に見られる「ネット応募選考」の問題、昨年実際に都内で起きた高校生に対する差別面接事件など、具体的な問題指摘が行われた。