6月7日、千代田区公会堂で、「個人情報保護と職安法改正を考える」をテーマに第2回「就職差別撤廃」東京集会がひらかれた。都内企業の公正採用選考人権啓発推進員や行政・教育関係者などが参加した。
集会では「個人情報保護と職安法改正を考える」をテーマとし、国会で議論されている個人情報保護法案や改善命令違反者への罰則規定が設けられた職安法の改正を考えることを課題に、以下4本の講演が行われた。①「個人情報保護法のあり方について」北沢義博弁護士。②「採用時における個人情報保護法と各国の取り組み」竹村毅実行委員長③「2000年度就職をめぐる教育現場から」松浦利貞東京都同和教育研究協議会事務局長④「職安法改正と個人情報の取り扱いについて」東京労働局の山岸文雄さん。
講演で北沢弁護士はこの法案は国際的な個人情報の流通と国のIT戦略の中で、個人情報を積極的に流通させたいという意図で作られたもので、プライバシーや人権保護が横に置かれている。しかし、差別を制限するきっかけにはなる。また、データーをコンピューター管理している事業者は対象になるが、実際の人権侵害に関係する名簿業者は対象になっていない。国の民間規制や介入も懸念される。一旦この法案は廃案にし、国や自治体の個人情報保護制度をきちんと作ることが先決だと述べた。
また、竹村実行委員長はOECDプライバシー保護韓国やEU
データー保護指令、ILO労働者の個人データーの保護に関する実施コード、産業医の倫理綱領などを参照しつつ、採用時の健康診断の廃止を求め、企業自身が採用選考時の個人情報の取り扱いをどうすべきか方針化する必要があると述べた。
この集会は東京都、都教委などの行政、(社)経団連や(社)経済同友会などの経済団体、私大連や公立や私学の校長協会、人権マスコミ懇話会など幅広い後援の下で行なわれた。これは、差別身元調査事件で東京の就職差別の深刻な実態を明らかにし、その解決のために学校、企業、行政、運動団体が広範な連携のもとに取り組むことなくして、東京の就職差別の実態を変えることはできないという認識があったからである。東京都でも6月を就職差別解消促進月間と定め、今年から各種企画が取り組まれている。